皆さんは「3Dプリンター」なる文明の利器をご存じでしょうか?
いや、まぁ知らん人はおらんでしょうな。
自分的には縁の無い話だと思ってたので、黎明期に「へー、世の中にはすごいものが出てきてるんだなー」ぐらいに思ってから、最近までは一切追いかけておりませんでした。
まぁ、ちょくちょく動画を見てる「吉田製作所」とかで話が出てきたりするので、だいぶと進歩しているのは何となく知っていました。
とはいえ、積層タイプはガンプラに使えないかなーって方向性でしか考えたことが無かったので、最近は「レジン造形」系のプリンターの事しか認知してなかった感じです。
フィギュアの原型が作れたりとか、ガンプラのカスタムに使えるような細かいディテールパーツを作れたりとかするみたいだったので、必然的にそっちにばかり気が行っていた訳ですな。
ただ、レジンの扱いとか、未硬化レジンの洗浄とかに地味に溶剤が必要になる話を見かけたので、手が出るレンジの中華系プリンターとかが増えているのは横目に見つつも静観しておったのです。
で、急な方向転換になるわけですが、ゴールデンウィークなる大型連休のある日、奥様が旧友と出かけるとのことで、暇を持て余していたところ、ある動画を目にしました。
「monograph/ 堀口英剛」さんというチャンネルの動画なのですが、たまたまおすすめに出てきて、サムネを観て震えました。
「え、今、積層造形タイプの3Dプリンターって3万円台とかで買えるの?!」って。
一切存じ上げなかった方の動画だったのですが、わかりやすかったのもあり、ここからは最終的に購入することになる「Bambu Lab A1 mini」という3Dプリンター関連の動画をこれでもか、と見漁った訳ですな。
これです。
商品画像だけではわかりにくいんですが、名前の通りかなり小さいです。
また、いろいろな方のレビューを観ても、入門機としてはかなりおすすめというのが共通の見解でした。
(案件動画が多かったので、そりゃそうでしょ、ってのもありますが…)
ちなみに、自分は予算的には手を出せませんでしたが、
このA1 miniは、この価格にも関わらず「自動多色造形」にも対応しております。
ただ、そのままでは無理で、AMSという複数のフィラメント(紐状の成形素材)を管理できるサポートメカが必要です。
特に、A1 miniやA1(miniの兄貴みたいな機種)というシリーズで連携できるのは、「AMS lite」という製品です。
この「A1 mini Combo」というバージョンの製品には、最初からそのAMS liteがセットで付属しています。
ただ、倍ぐらいの値段になるのよね。
メーカーサイトとかを見ると、あとから単体でも買えるみたいなので、どうしても必要になって、財布事情的にも手がでるようであれば、その時に購入しようかな、と。
珍しく我慢することが出来ましたw
まぁ、当面やりたいことに多色成型は不要でしたし。
てな感じで、この「Bambu Lab A1 mini」という3Dプリンターを手に入れたわけです。
が、もちろんこの本体だけがあっても何もプリントできません。
「フィラメント」なる素材が必要な訳です。
このフィラメント、ほんの少しだけ調べただけでも奥が深い…。
一眼カメラ本体を購入した後の「レンズ沼」に近いものがあるかも…?
レンズほど価格はしませんが、とにかく種類が多い!
そもそもの材質として、「PLA」とか「PETG」とか、「TPU」とか、「シルクPLA」とか…
急に化学の授業を思い出すような感じです。
作りたいものに必要な特徴に合わせて、材質を選ぶ必要があるのです。
「耐候性が必要」とか、「耐衝撃性が必要」とか、「柔軟性が必要」とか、「見栄え重視」とか。
ちょっと話がずれてきましたね…。
元々は、ガンプラ関連で3Dプリンターに興味が湧いてきていた訳ですが、最近は忙しくてめっきりプラモデルを触れておらず。
引退したつもりもないのですが、ありがたいことに仕事が忙しくなってきておりまして、ダラダラした感じで触るには気持ちが整わないことが多くなってしまっております。
おかげで、せっかく作った自作塗装ブースをほとんど活用できておりません。
と、まぁ、この忙しくなってきた仕事で使えないものか、というのが最後に背中を押したポイントでした。
少し前から仕事で使う商品の商社営業の方から、3Dプリンター導入しないんすか?ってちょくちょく言われており、自分の仕事と案外シナジーがあるのはわかっていたのです。
更に、その営業マンのお誘いで2D-CAD(JW-CAD)と3D-CAD(Autodesk Fusion)を少し触ることができるようになり、いよいよスキル的に仕事に3Dプリンターを活かせる状態になりました。
この営業マンや同業他社で3Dプリンターを使っている人と話す中で、仕事に使うならレジン光造形タイプはやめた方がいい、というのが共通の意見でした。
レジン造形で作った物は「砕けるから」ということでした。
仕事で使う、というのは「ちょっとしたスペーサーみたいな部品を自分で綺麗に用意できると非常に助かるから」ということでして、砕けてしまうのは非常に都合が悪い。
趣味と兼用できれば最強でしたが、仕事での活用に重きを置きたいと決意したからには、レジン造形タイプは諦めざるを得ませんでした…。
さて、混み入った話をしてしまいましたが、当面は作りたいものはそんなに大きくなくても大丈夫かな、というのもあり「A1 mini」で十分、とジャッジしたわけです。

A1 miniは、名前の通り兄貴分のA1に比べて非常にミニです。
造形できるサイズは、180ミリ×180ミリ×180ミリまでです。
あまり多くの機種を調べていないのでわからない部分も多いのですが、これは造形サイズとしてはかなり小さいようです。
A1は256ミリ×256ミリ×256ミリとの事。
70ミリってまあまあの差ですよね。
とはいえ、現時点では何の不満もありません。
使い始めてから2日しか経ってませんけど。
さて、商品の話なんかは、レビュー動画とかの方がよほど詳しく紹介されてるので、ここでダラダラ書いてもな、ってことですね。
実際にいくつかプリントしてみたものを紹介してみます。

これはなんじゃろな。
わかるわけないっすね。

正解は、「サウンドバーの台座」でした。
少し前に衝動買いしてしまった「デノン」のサウンドバーですが、標準の壁掛け方法があまりにも怖すぎるんですよね…。(自前で用意したネジに裏側の穴をひっかけるだけ)
頑張って引っ掛けるネジの長さを調整したりしてたのですが、重さに負けて前下がりになってしまっていました。
ネジはボードアンカーを使ったので簡単には抜けることはないはずですが、ずっとずっと気になっていました。
Amazonで汎用の台座みたいなのも売っているのはチェックしていましたが、せっかくなので自作してみてプリントの練習台にしよう!と思い、Fusionで設計してみました。
汎用品はこんなの。
色々な機種に対応できるように、アーム部分が伸縮できるようになってます。

超ざっくり設計ではありますが、L字のつなぎ目で折れないようにしたり、受ける側がしならないようにリブをいれたりしてあります。
ちなみにVer.2です。
初号機は、見栄えを気にして面取りしまくった結果、造形物が弱くなってしまいました。
(チェックでグニグニしてたらアームの付け根をへし折ってしまったので、画像も残ってません…)
そうならないように、フィレット処理は一切ない質実剛健な見た目になりました!

黒色のPLAでプリントしたのもあり、いい感じに馴染んでいます。
気になっていた前下がりも改善しました。
積層方向も気を付けたので、層間剥がれでアーム部分がポロリすることもないはず。
あとは、そうは言っても自作品なので、劣化がどんな塩梅なのか、だけですね。
屋内ですし、製品の自重以外に力を掛けるわけでもないので大丈夫と信じたいですけども。
と、テスト(2回目)が上手く行ったので、仕事で使う部品の作成もしてみることに。

いよいよ一般の方にはわからない代物ですが、右の白い部品がプリントパーツです。
これは強度が欲しかったのでPETGを使いました。(インフィルも50%ぐらいまであげてます)
左のアルミ製の金具と組み合わせるスペーサーというか土台みたいなものです。

組み合わせるとこんな感じ。
メーカーが公開している寸法図を参考に穴位置などを決めたので、ばっちりです。
これを作らなかった場合は、アルミの角パイプなどを用意して土台替わりにするつもりでした。
3Dプリンターで作成したものなので、角パイプと違ってある程度中身が詰まっています。
取り付ける際のビスの締め付けでひしゃげることもありません。
ドリルで穴をあけたけど少しずれてた!みたいな心配もありません。
ちょっとこれは思っていた以上に有用な物かもって感じがすでにビンビンしてます。
実際に設置するのはもう少し先なので、うまくいくことを祈るばかりです。
その他に作った物としては、「防湿フィラメントケース」なるものです。

こんなやつです。
このフィラメントって代物は、湿気が大敵らしいです。
水分を吸ってしまい、成形するときにトラブルを起こすそうです。
そんなことを知ったからには対策を!
ってことで引き続き動画を見ていると、「防湿フィラメントケース」とか「フィラメントドライボックス」とかいう周辺機器があるそうな。
これらの製品は、ケース内の湿度を管理するだけでなく、乾燥のために素材に合わせて一定の温度まで加温することもできる優れものらしい。
ただ、このeSUNの製品はお値打ちな価格帯の製品といえど、5,000円弱の商品です。
(複数本を収納できる物とかになると更に高価になります…)
そんなもの買ってられるかい!!ってことで、さすが3Dプリンター界隈。
「じゃあ自作すればええやん」の精神が根付きすぎており、ちょっと調べただけでDIYで防湿ケースをつくる方法が山盛り出てきます。
自分もその入り口に立った者として、自作してみることに。
いろいろ動画を見漁った「かける工房」さんの動画を参考にさせてもらいました!
なぜこの動画を参考にしたかというと、この土台部分の造形モデルのデータを無料公開されていたからです。
素晴らしい!
これぞ3Dプリンターの醍醐味。
世界中の誰かの素晴らしい作品を自分の手元で形にすることができる!
ただ、1点注意というか…
ほとんどの自作防湿ケースのベースに使われている「ダイソーの大容量密閉容器」は恐らく終売しています。
公式サイトや店舗を探しましたが見つけられませんでした。
なので、自分はコーナンのPB製品の密閉容器(5.6L)の物を購入しました。
ダイソーの物とは微妙に寸法や造形が違いますが、結論としては使えております。
ダイソーの容器は300円だったそうですが、コーナンのは800円ぐらいします。
とはいえ、そこまで大幅に高いわけでもないので、代替としては十分ではないでしょうか。
ケースを選ぶ際は、フィラメントのボビンが収まるように平たいタイプを探しましょう。
同じような5Lレベルのケースでも、製品によっては深さで容量を稼いでいる製品もあります。
それ以外に用意したものとしては…
中に一緒に入れる「乾燥剤」です。
フィラメントのメーカーがOEMで販売している物の製造元の製品なので、価格が全然違うみたいです。
4個入りで880円とかです。
自分はケースを2つ作ったので、これでもまだ2つ残ってます。

(継手の組み替えで蓋を開けたので、湿度が少し上がってますが、開ける前は27%とかになってました)
次は「湿度計」
ケース内の湿度をチェックしておく必要があるので。
かけるさんのデータにはこの商品と同じ寸法の湿度計がはめられる設計になっています。
ボタン電池で稼働している模様。

ただただ除湿するだけのケースをつくるのであれば不要ですが、ケースに入れたままフィラメントを取り出すことができる、というのが造形物のクオリティ維持につながるということなので、フィラメントをケースに収めたまま取り出しできる口を作る必要があります。
PTFEチューブは無くてもいいかもですが、あった方がガイドになるのでいいかと思います。
ゼロから用意するなら、継手(口の部品)とセットの物があるので、それを買った方がお得と思います。
青や黒のパッキン部分がPTFEチューブを咥える部分です。
反対側のネジ山が加工されている部分がケース内に挿入されます。
そのままでは固定できないので、六角ナットなどで固定する必要があります。
上記リンクの製品の場合、青いパッキンの方が「M6」でネジが作られています。
ホームセンターに行って、「M6の六角ナット」を買うといいでしょう。
そんなに締め付けトルクが必要なわけではないので、蝶ナットとかの手で回しやすい形の物とかにする必要はないと思います。(ケース内は狭いので、蝶ナットは邪魔になると思います)
自分はパッキンとしてシールワッシャーを挟みました。
恐らくは無くても大きくは影響ないとおもいますけど、念のため。
あと、かけるさんのモデルですが、動画公開後にバージョンアップしたようで、ベアリング組み込みバージョンのモデルが公開されていました。
そちらを使わせてもらう場合は、指定のフランジ付きベアリングも用意する必要があります。
自分は「eSUN」というメーカーのフィラメントを購入したのですが、このメーカーのフィラメントは紙素材のボビンに巻き付けられています。
どうもこの紙製ボビンが曲者のようで、ローラーの上でうまく回らない(もしくは滑ってしまう)というようなことが発生するので、それの対策としてベアリング組み込み版が作られたようです。
後半は防湿ケースの紹介ばかりになってしまいましたが、今のところは2日使ってこんな感じ。
今もダラダラと文章を書いている隣ではA1 miniくんが頑張ってます。
途中で紹介した仕事の土台の追加スペーサーとか、挟み込み式のデスクライトをスチールラックに取り付けられるように設計した土台などをプリントしてます。
デスクライトの土台、うまくいくといいけど…。
せっかくと思って締め付けるボルトも3Dプリントしてみてるので。
想像を絶する長さになってしまいましたが、今回はこんなところで。
もっといろいろと紹介できるようになったら、せっかくなので動画にしたいな、とも思ってるんですけど…。
時間あるかな。
ではでは!